6/3 LINK主催 勉強会

 6月3日に実験研究棟W301室で、「LINK」による勉強会が開かれました。講師はNPO法人生態工房職員の栗原七保子さんです。栗原さんは横浜市立よこはま動物園ズーラシアの元職員で、現在も、動物を最大限に活用しながら動物について学べるプログラム作りのお仕事をされています。(7/9更新)


 この勉強会を開いた「LINK」は動物園という場を借りて「学ぶ・伝える・つなぐ・楽しむ」をテーマに、人と人、動物と人、環境と人をつなぐ架け橋となり、多くの人に動物や自然の素晴らしさや、動物たちが抱える問題を発信しようと集まった本学学生のプロジェクトチームです。

 栗原さんはある日、大変興味深い新聞記事に出会ったそうです。その記事とは「夏の軽井沢に太ったゴミグマが現れた!」というものでした。夏場の軽井沢では、観光客や別荘に遊びに来ている人々が1日に約100tもの生ごみを出すそうです。本来クマ(ツキノワグマ)は臆病な動物ですが、おいしい生ごみを求めて人里へ下り、人への警戒心を薄め、人を傷つけてしまう可能性が出てきました。結果、そのクマは薬殺されてしまいました。

 そこで栗原さんは現状を知るために、軽井沢で自然環境の調査・研究・保護活動をしている団体「ピッキオ」を訪れたそうです。金網で作られたゴミ箱は、人間には重くても、クマには簡単に倒したり扉を開けられるものばかりです。そのため「ピッキオ」では、罠にかかったクマには発信機の付いた首輪をつけ、人間が恐ろしい生き物だと教えるために、クマの嫌いな音や匂いで恐怖心を与えてから山に返すようにしていました。

 栗原さんはこの「ピッキオ」での体験を活かし、小学校低学年から大人までを対象とした「もっと知りたい?日本の自然や動物たち!」という教育プログラムをズーラシアで行っていました。来園者には日本を代表する動物としてタヌキの生態を例にして生態系を理解してもらったり、ツキノワグマの糞を水に溶かしてどんなものを食べているのかを調べてもらったりしたそうです。

 このプログラムでは、最後に軽井沢のクマの実話を紙芝居にして読み聞かせたそうで、この勉強会でも拝見させていただきました。スポットいう名前のツキノワグマの話で、「スポットは人里に下りて生ごみを食べていました。2度のおしおきの後でも、生ゴミの味を忘れられずゴミ捨て場に来たため、とうとう薬殺されてしまいました。もしゴミ捨て場が頑丈な鍵の付いた小屋だったら?もし人間が不法に生ごみを捨てなければ?このクマは殺されることはなかったでしょう」という内容でした。読み終えた後、栗原さんと聴衆の目が潤んでいました。

 人間と野生動物の問題は尽きることはなく、今も多くの動物たちが人間の都合によって命を落としています。このような問題を解決していくためには、アニマルサイエンス学科の学生としてしっかりと勉強し、世間の人々に訴えていかなければならないと感じました。栗原さん、貴重なお話を本当にありがとうございました。(2年 中山 1年 岸)

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