高橋研究室
 研究室訪問の第四回目は高橋研究室です。細胞実験を行う人や、専門的な動物看護士を目指す学生が中心です。(2004年7月取材)


高橋 英司 教授

農学博士・獣医師

専門分野:動物ウィルス学・伝染病学・人畜共通感染症・公衆衛生学

 東京大学大学院農学系研究科畜産獣医学専攻博士課程修了後、農林省家畜衛生試験場主任研究官、東京大学農学部助教授、東京大学農学部教授、東京大学名誉教授ののち、当学科の教授となる。獣医師。


 専門分野は、動物ウィルス学・伝染病学・人畜共通感染症・公衆衛生学です。

 今は、犬と猫の感染症について研究をしています。ウィルスに感染している細胞を増殖して、生化学顕微鏡で性情を調べています。

 以前は、牛のウィルスの研究をし、アカバネ病の正体を突き止めました。アカバネ病とは、産まれた仔牛が奇形や起立困難などを引き起こす伝染病です。おとり牛にアカバネ病に感染している牛を妊娠させ、西日本の数箇所で飼育し、それらの牛の退治が陽転を起こしたことにより突き止めました。

 現在研究室には、動物看護士を希望する学生と、ウィルスに関係する研究を行なっている学生がいます。動物看護士を目指している研究生は、特別実習として動物病院にいき、これを卒業研究として認めています。現場で実習をし、経験を積み重ね、検査技術を習得して将来的には希少な専門看護士を目指しています。この狙いは、病院に来る犬・猫に感染症と思われる症状が出ている場合、研究材料として大学に持ち帰ります。また、他の研究材料として役所等に持ち込まれた瀕死またはすでに死亡している野生動物など、様々なところから研究材料を集め、データを取っています。

 ウィルスを研究している学生は、前期は基礎実験をしてテーマを振り分けて絞っていきます。また、バイオサイエンス学科の大学院生の補助をしながら、ワクチンの研究の基礎となるウィルス培養を学び、ウィルスの感染症について研究をしています。


高橋研究室 四年生

栗本 浩太さん

シリウス部所属

 犬や猫に感染するウィルスの培養をしています。動物から採取した細胞に7種類のウィルスを埋め込んで感染させたものを増殖しています。この感染させた細胞は、大量に必要としますが、少しずつしか増殖できないため、現在は先輩の補助をしながら研究室の仲間で基礎となるこのウィルス培養を学ぶ毎日です。今後は、その細胞を使い個人で研究するか、みんなで一緒に研究するかはわかりませんが培養が終了するまでには決めたいと思います。

 将来は、研究者を視野に入れながら研究していきたいと思っています。


高橋研究室 大学院理工学研究科 修士課程

バイオサイエンス専攻 一年生

樅山 博章 さん

 ワクチンの研究をしています。動物から採取した細胞を培養し、ウィルスを埋め込んで感染させると、抗体反応が出現します。それをクロマトグラフィーや電気泳動などで分析して、犬・猫・牛・猿に感染するウィルスのワクチンとして使える部分を探しています。

 扱っているウィルスは、猫ヘルペス(症状:小水庖・潰瘍・口内炎・顔面や鼻部の皮膚炎など)、猫カリシウィルス(症状:口内炎・食欲不振・発熱など)、犬ヘルペスウィルス(下痢・腹部の圧痛・嘔吐・呼吸困難など)、犬パラインフルエンザ(症状:発熱・せき・鼻汁など)、犬パルボウィルス(症状:嘔吐・血便・脱水・白血球の減少)、牛の下痢症候群などです。

 これらのワクチンはすでにありますが、作り方の技術を習得し、将来的にはこれを応用して、猫エイズなどの難病に効果のあるワクチン作りに役立てたいと思っています。

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