私の専門分野は、動物人間関係工学です。動物介在活動などが人へ及ぼす効果と、動物の行動や動きを私たちの健康に利用できないか、ということを研究の対象にしています。特に後者が人間に与える効果をどう測定し、数字で表すかが目標です。たとえばロボットの動きを見ると、そこに動物の動きを取り入れています。これはペットロボットだけではなく、産業などで使われるロボットにも、本物の動物の体の構造や動きが応用されています。
現在、職場におけるストレスとペットの関係について調べています。8人の被験者に、仕事の前後に休憩時間を設け、ペットと遊ぶ場合、本を読む場合、ペット型ロボットで遊ぶ場合で比較すると、ペットと過ごす場合が一番リラックスできるようです。もちろん、これは動物好きな被験者である事も関係しているでしょうが、これが読書になるとあまり良い効果がでないのが不思議です。
また、二年位前の学会では、創造的な仕事と休憩時間の使い方について発表しています。まだ詳しい理由はわかりませんが、休憩時間にペットと遊んだ後、創造的な仕事をやらせると普段より「やる気」が出るようです。これは脳波測定の結果からもわかっています。また、そのときの気分についてアンケートをとった結果、ペットと一緒にいるほうが、生き生きするという回答が多いことがわかりました。
今までは人間の睡眠や覚醒について、人間は睡眠を何時間取るのがいいかなど研究してきました。本年度のアニマルサイエンス実習では、自分の睡眠と飼っている動物の睡眠のパターンが同調しているという結果を報告しているグループがありました。散歩以外に運動をしないペットは、散歩のときにだけ活動レベルがあがります。データを長期間取れば興味深いデータが集まるでしょう。
また、馬についても研究することはいろいろあります。馬に乗ると歩行姿勢が変わります。歩行姿勢が変わることをどうやって測定するかは難しいところですが、実習で行なった乗馬シミュレータによる測定では、その効果がきれいに出た女子学生がいました。乗る前は猫背だったのに、騎乗後には背筋が伸びてまっすぐになりました。このことを科学的に追求しようと考えています。さらに筋電図を使って、乗馬中はどこの筋肉を使うのかも調べる予定です。
現在2人の卒研生が、防衛医科大でロボットを用いたロボット介在活動と、コンパニオンアニマルを用いた動物介在活動とを比較する研究をしています。犬の車椅子の効果や、車椅子使用時の犬のバランスの変化についての研究をしようとしている学生もいます。あるいは、ペットビジネス、また多頭飼育について日本とアメリカの違いなどを調べている学生もいます。
まとめるのは大変ですが、バラエティーに富んでいて楽しいです。(インタビュー:たかたか・真基・千尋)
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