森研究室 四年生
中野 裕介さん
ビオトープ研究部・野生生物研究部・動物園研究部 所属
自然環境の回復に関わる活動をしていきたいと思い、まず大学のビオトープの丘の下に並んでいる二つの池で、池のpHや溶存酸素量など水質を月ごとの変化を調査し、その池に生息する生物を調べています。
この池では現在まで、ヤマアカガエル、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエルなどのカエル、ミズカマキリなどの水生昆虫、そしてヘビや金魚などが確認されています。
ビオトープとは、直訳すると生物が生息する場所という意味です。私はビオトープという概念を勉強し、自然を回復するための活動に繋げていきたいと思います。
大学の駐車場の横に、石で囲まれている池と草が生い茂っている池が、隣同士に並んでいます。この二つの池は生物相が異なっています。
石で囲まれている池には、多くのヤマアカガエルが生息していますが、もう一方には多少の産卵はあったものの、明らかに数が少ない。
この隣り合った二つの池は、水温が明らかに異なっています。石で囲まれている池では一日の温度差が少なく、冬は一日中凍っていましたが、もう一方は朝晩は凍っても昼間は溶けていました。
ヤマアカガエルは、凍り付いてしまう石の池によく産卵をする傾向がありました。もう一方の池に産卵をするカエルはほとんどいませんでした。
そこで、二つの池の溶存酸素量を調べると、石の池のほうが少し多いという結果が出ました。また、草で生い茂っている、産卵の少ない池には、多くのミズカマキリが観察されました。
以上の事から、もしかすると、カエルは溶存酸素量や捕食者の密度などの影響から、石の池だけに産卵しているのではないかと考えられました。
ところで、この池では今までツチガエルの声や姿は見ることはできませんでしたが、先日初めて捕獲されました。このことから、生物相が年々変化してることがわかります。できれば生物相の経年変化も調べてみたいと思っています。
研究期間があれば、最終的には自分自身でビオトープを作ってみたいですね。
(インタビュー:ふーちゃん、千尋、公美)
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